比較血液学カラーアトラス
本書の特徴は何といっても収録された動物種の多さにある。哺乳類はもちろんのこと鳥類から爬虫類までかなりの数が網羅されている。動物園に勤務する獣医師にとっては野生動物の血液塗抹標本の判読など容易なことであろうが,普段それらの動物に接していない者にとっては,その多様性に驚く。また小動物臨床において重要と思われるイヌやネコに関しても正常から異常まで多彩な情報が掲載されている。なかでも,人工産物(artefact)については詳細に記述されており,病的異常との鑑別に有効と思われる。本書ではこのような実例がカラー図版でわかりやすく説明されており,血液学者のみならず臨床獣医師にとって有用な情報を提供するものと思われる。本アトラスを通じて血液細胞に関する情報が増えただけでなく,比較することによって各種の動物における基本的な変化がより深く理解され,さらに,わずかでも血液細胞学の根本に触れることを期待する。 主要目次 |