動物の痛み

・アメリカ生理学会 編/Kitchell, Erickson, Carstens, Davis 編
・菅野富夫(北海道大学獣医学部) 訳
・B5判上製本、200頁/図表100点
・ISBN4-87362-017-1 C3061
・初版発行:1988年9月30日
・定価(本体8,000円+税)/送料380 円

 研究,教育,および副作用を最小に止めるための製品テストに動物を使うためには,動物の痛覚についての知識を一層深める必要がある。動物保護への社会の関心が高まっている現在,知識を一層深める必要性に加えて緊急性も高まっている。
 本書は次の2部に分けられている。第1部,動物の感覚は次の主題で構成されている。痛みの末梢機構と脊髄より上位の中枢神経,神経生理学からみた分節性機構,脊髄路と調節系,痛覚脱失とエンドルフィン類,痛みの評価法としての行動の機構,外科療法中の痛みの評価,および系統発生学からみた動物の痛み表現の進化。
 第2部は,動物の痛みの軽減は次の主題から構成されている。薬物-素因因子と種族差,ウマの鎮痛薬の評価およびイヌとネコの痛みの制御。動物の痛み軽減に使われる薬の吸収と生体内転換には,著しい種差がみとめられる。
 したがって動物の痛みの知覚と軽減に関する基本的情報を提供すると共に実験動物を扱っておられる研究者,飼育にあたっている方々,獣医師,ペットとして動物を飼っている方々にも「動物の痛み」を科学的に理解することの難しさと研究の実際をこの本によって学んでいただきたい。

主要目次
第1章 痛みの末梢機構
第2章 侵害受容の神経生理機構
第3章 動物の侵害受容情報伝達の上行経路
第4章 ネコにおける脊髄より高位の中枢の痛みの機構
第5章 侵害受容伝達の脊髄下行性調節
第6章 刺激によって引き起こされた痛覚脱失
第7章 人間と人間以外の霊長類の皮膚への痛覚電気刺激およびモルヒネにたいする反応
第8章 全身麻酔の概念と動物外科への麻酔適用の評価
第9章 痛み表現の系統発生進化の展望
第10章 痛みの緩和因子としての薬物の体内配分の種差
第11章 ウマの鎮痛薬の評価
第12章 イヌとネコにおける痛みの制御

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