小動物の内分泌マニュアル

・Maureen Hutchison 編
・阿久沢正夫(鹿児島大学農学部)、上村俊一(鹿児島大学農学部) 共訳
・A4変型判並製本、200頁/写真60点,図表72点
・ISBN4-87362-059-7 C3061
・初版発行:1995年8月25日
・定価(本体12,000円+税)/送料380 円

 内分泌疾患に関する参考書は,人に関する本は多数あるが,動物に関するものは少ない。他の分野と同様に内分泌学は近年急速に進歩しているため,ほんの少し前に出版された本には書いてなかったこと,あるいは当時は推定の域にあったことが現在確定されて記載されていることも少なくない。本書の内容からは,そのような最新の知識をそのまま読むことができる。
 本書は3段階に分けられている。第1の部分は各内分泌器官の解剖と生理が簡潔に記載され,器官を障害する疾患の診断と治療の方法が示されている。
 第2の部分は,一般の臨床では比較的よく遭遇し,特異的な症状を示すが詳細な診断と治療を必要とする疾患を示している。内分泌と他の臓器の疾患の鑑別の案内役となり,最も役に立つのはたぶんこの部分であろう。
 第3の部分は,いくつかの未解決の問題が示されている。ここでは,犬と猫の血清中のホルモン正常値の表も示されている。
 本書は内容が豊富であるにもかかわらず,記載が要領よく簡潔であるから,一般臨床における内分泌学の診断と治療に役立つ,極めて十分な情報を提供するであろう。浅学非才であるわれわれ訳者では,原著者が言いたいことを的確に伝えられたかどうか一抹の不安もあるが,翻訳するにあたってできるだけわかりやすいことを第1とした。本書が内分泌学に関する臨床家の良い参考書となることを期待する。

主要目次
PART ONE
第1章 下垂体
第2章 甲状腺
第3章 上皮小体
第4章 副腎
第5章 膵島
第6章 雄犬の繁殖内分泌学
第7章 雌犬の繁殖内分泌学
第8章 猫の繁殖内分泌学
PART TWO
第9章 多尿と多飲の鑑別診断
第10章 脱毛症の鑑別診断
第11章 肥満と腹部膨大の鑑別診断
第12章 脆弱と虐脱の鑑別診断
PART THREE
第13章 腫瘍随伴症候群
第14章 内分泌機能の検査
犬と猫のホルモンの参考値の範囲

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