猫の解剖図説
一般に解剖学は,古典的な科学でもはやつけ加えるほどのことが何も残っていない分野のように誤解されているが,本書のような小冊子でも,地図と同じことで現場の道しるべとして使う人のレベルによって見るたびに新しい情報を提供するものである。ただ地図と異なり,地名に較べてはるかに変化に富むのが解剖学用語である.本書ではヒトとネコの対比が意識されており,医学の解剖学と獣医解剖学の異同が随所に指摘されている。例えば筋肉の名称からして英米の方式であり,獣医学の立場というよりは動物学の見方が強い。これは,原著者が動物学者であることによるのであろうが,そのことは我国の獣医解剖学の視野を拡めてくれることであって,決して本書の欠点とはいえない。 訳者一覧 主要目次 |