獣医学臨床シリーズ 7
牛の代謝性疾患

・本好茂一 監修
・B5判並製本、180頁/図表146点
・ISBN4-87362-607-2 C3061
・初版発行:1990年3月30日
・定価(本体8,000円+税)/送料380 円

 動物が家畜化され人類と共同生活を始めてから、5〜6000 年の歴史があるに過ぎない。動物が勝手に野生の草を四季折々に食べて走り廻っていた頃に比べて、動物が改良されヒトに馴れすぎて、自らが餌を探しまわることがなくなってから栄養が過剰になったり、偏ってしまったりするようになったかもしれない。牛は性格が大人しく、反芻胃という巨大な生産工場をもつが故に、その工場に大量の原料を投げ込んで、過大な乳なり肉なりの生産を期待しても止むを得ないだろう。
 反芻動物には期待する生産性のために起きるいわゆる生産病という病名がある。これは飼料の取り込みを増やし、十分に加工し、高エネルギーに転換し、大量の生産物の放出を図ろうとすることに由来する病気である。このことは体の中で自動制御され、負担を軽くすることが常に補償されていなくてはならない。この調節機構の乱れは体内で代謝調節の破綻を来たすことになる。その代表的ないくつかの疾病について、生物学、畜産学そして獣医学の立場から、反省と共にこの小著がまとめられたものとも言えるであろう。
 牛の代謝性疾患に対する現在の第一線の研究者によって執筆された内容は斬新で奥が深く、専門書としてまた学生にとっては少し食い足りない教科書の副読本としても有用であろう。もちろん、現場で切望されている重要疾患の集大成であり、第一線獣医師にとっても、また畜産学徒にとっても、きっとよき解決策を編み出す糸口になる良き友人となるであろう。

執筆者一覧
川村清市(北里大学獣医畜産学部)、小野憲一郎(東京大学農学部)、本好茂一(日本獣医畜産大学獣医畜産学部)、元井葭子(農林水産省家畜衛生試験場総合診断研究部)、内藤善久(岩手大学農学部)

主要目次
ケトーシス/糖尿病/脂肪肝/脂肪壊死症/分娩性起立不能症

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